こどもの国

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電車好きな僕の為にパパはICカードに毎月三千円分のチャージしてくれる。1日乗車券を買ったり、飲食代として使う。ちゃんと計画的に使わないと帰ってこられないから念入りに乗車計画を練る。残額は翌月分に持ち越し出来るようにパパを説得するのも楽しみの一つだ。
今週末はどの電車に乗ろうかと路線図を広げた。
「パパ、こどもの国ってどんな所?」
「どんな所だと思う?」
想像してみてごらん、とパパは言っている。その名の通り子供だけの世界ーーそれって殆ど嫌いな学校と一緒じゃないか。ボスがいてこずるい奴らを従えている。
「楽しい想像は出来なかったか?」
「うん。あまりね」
パパはそれが学校に行きたくない理由だと思っている。
「今度一緒に行こうか」
「一緒に行くならもっと遠い所がいいな」
「そうか」
「パパ、先月の残額なんだけど」
「聞きましょう」
僕は姿勢を正し乗車計画を話すと愉快そうにパパは笑った。
その他
公開:21/05/22 00:37
紙の1日乗車券が無くなる?!

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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