いばらのり子の一生

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子役から活動していた女優、いばらのり子は、かわいいというよりバラのように綺麗な女性だった。
若かりし彼女は、まだ蕾のような存在で、才能が開花するまであと一歩だった。ところが突然、大物男優と純愛を経て電撃結婚した。だが、幸せな生活は続かず、夫が別の女性に浮気したことで離婚する。
それからの彼女は、芯の強いトゲのある演技が評判となり、名女優として歩み始める。
赤、白、ピンク、オレンジ、黄、青、紫、緑……バラの花色が様々なように、彼女も映画やドラマ、舞台などで多種多彩な役をこなした。
彼女の名声が上がれば上がるほど、嫉妬する他の女優が彼女を追い落とそうとしたが、演技だけでなく、彼女自身が芯の強い女性だった。だから誰にも負けなかったし、バラのように美しく輝き続けた。
バラ色の人生ではなかったが、茨の道を乗り越えた彼女は、波瀾万丈の生涯に幕を閉じ、国民的女優として大輪の花を咲かせ華やかに旅立った。
青春
公開:21/05/21 19:14
子役 女優 バラ 開花 トゲ 演技 茨の道 大輪の花

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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