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母が亡くなった男が葬式を行った。
葬式には多くの参列者があった。
参列者の一人が男に近づき「お悔やみを」と言った。そして「それから、これは差し出がましいことだと思いますが、あそこに書かれているあなたのお母様の年齢が間違っています」と耳打ちしてきた。男は「いえ、母の年齢は書いてあるとおりで合っています」と返答した。
参列者の何人もが小声で同じ指摘をした。男はそのたびに「いえ、あれで合っています」と答えると、相手は不思議そうな顔をした。

参列者たちは、しばらくして、互いに顔を見合わせヒソヒソと話し、それから代表者が一人、男のところへ来て「お母様の年齢は、本当にあそこに書いてあるとおりなんですか?」と聞いてきたので男は「そのとおりです。間違いありません」というと。皆、「なんてことだ、ずっと7才もさば読んでいたなんて」と溜息をつき憤慨した。
男は、自分の母親が実際いくつなのか、自信が無くなった。
その他
公開:21/05/19 08:53
#ショートショート #短編小説 #ジョーク #さばを読む

N(えぬ)( 横浜市 )

読んでいただきありがとうございます。(・ω・)/
ここに投稿する以外にも、自分のブログに同時掲載しているときがあります。

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