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 母が昏睡状態になって二年が経った。病院で寝たきりの状態だ。寝ているようにしか見えず、今にも起きそうだが、起きあがることはない。何度か安楽死を考えたが、二年が経った。
「おばあちゃんは今日もおねむ?」
 息子がおばあちゃんの顔をのぞき込む。
「お前にそっくりでお寝坊さんなんだよ」
 私がそう言うと、息子は頬を膨らませた。
「何かお話ししてあげるとおばあちゃん喜ぶぞ」
 息子はすぐに笑顔になった。
「おばあちゃん、あのね、この前パパね、おねしょしたんだよ」
 とんでもないことを言った。
「何かお話って、そんな報告はせんでいい。あれは酔ったまま寝たからしょうがないの」
 しょうがない訳でもないが、私は母に言い訳をした。
「あ、おばあちゃん笑った」
 母の顔を見るがそんなこともなく、いつもの顔に見えた。
 本当に笑ったのか?いや、笑ったのかもしれない。
 あなたのおねしょ癖は治らないわね、と。
その他
公開:21/05/22 00:00

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