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猫になりたい…と呟いてしまう。今日も深夜の帰宅…本当に毎日が嫌になる。
空を見上げると私の今の気持ちと同じ曇天模様。それなのに青い月がはっきりと見える。
暫くそれを見上げていた。ふと月が二つ浮かんでいる事に気付いた。
灰色の雲が、まるで口を開けるようにぱっくりと割れる。その奥は黒。星さえ見えない漆黒が蟠っている。
灰色の雲が形を変えた。2本の柱が私に向かって襲い掛かってきた。灰色の雲に押さえつけられる私。
二つの月と漆黒の割れ目が私に近づいてくる。
目と鼻の先まで近づいてきたそれを見て、私は理解した。
それは巨大な猫、ロシアンブルーだった。青い瞳、灰色の巨体が私を獲物と認識したようだ。
ああ…まるで注文の多い料理店のようだと思った。化粧っ気のない私なんて丁度いい餌だろう。
私は恐怖に顔を歪める事なく漆黒に飲み込まれた。
私は猫の一部になった。今も曇天の中から次の獲物を猫と一緒に探している。
公開:21/05/18 20:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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