真犯人

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「犯人は、あなたですね」男は女に向けて言った。「あなたは夜這いに行くふりをして部屋に入り、殺害した」
 女は動揺したが、反論する。
「でも内側から鍵がかかっていたじゃない」
「あれはドアノブを何度か動かすと鍵がかかる立て付けの悪い扉です。それをあなたは知っていたんだ」
 女は黙ってしまった。
「ちょっと待ってくれ!」
 若い男が割って入ってきた。
「彼女は今日初めてここへ来たと言っていた。扉のことを知るはずがない」
 若い男はさらに続ける。
「それにあんたこそなんで扉のことを知っていたんだ。本当はお前が犯人で、彼女を犯人に仕立て上げようとしているんだろ」
 若い男に詰め寄られた男は何も言えなくなった。
 男が警察に連行されることになった。
「ありがとうございます」
 女は若い男に礼を言った。
「いえ、そんな」
 若い男は照れた。
「お礼に地下のバーで飲みませんか?行きつけなの」
「え?」
ミステリー・推理
公開:21/05/21 07:00

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