大好きな名前

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僕は彼女の名前が大好きだ。
彼女の口から発せられる彼女の名前を聞くと脳が痺れる。全身が喜びに打ち震える。
彼女の名前は特殊で人の声帯では上手く表現出来ない。上手く表現する事が出来ないから文字で表す事も出来ない。
特別な彼女の名前。だから僕は彼女の口から告げられる、彼女の名前が大好きだ。

ある日彼女が黒服の男達に連れて行かれた。僕もまた黒服に拉致された。
黒服は僕に彼女の事を聞いてくる。彼女とはいつ出会った?彼女はどこに住んでいる?彼女は何歳だ?彼女の名前は?
腹が立った。特別な彼女の名前。それが汚されている気がした。
だから僕は僕の名前を告げた。
黒服が耳を押さえた。
僕は僕の名前を告げた。
黒服は頭を抱え悲鳴を上げた。
僕は僕の名前を告げた。
黒服が血を吹いて絶命した。
僕は僕の名前が嫌いだ。僕の名前は特殊な音波で、聞く人の脳を破壊する。
そんな僕の名前を彼女は大好きだと言ってくれる。
ミステリー・推理
公開:21/05/19 20:57

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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