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病室の窓から外を眺める。
「あの木の葉っぱが全部落ちる頃、私は死ぬのだろう…」
と、どこかで聞いた事のある言葉を口にする。
私の病気は手術で治るかもしれないと言われた。でも治らなければ?それが怖くて、私は無為に日々を過ごしている。
木に目を向けると虫食いの葉っぱがもぞもぞと動いていた。青葉を重ね合わせたそれは馬の形のように見える。あの中、蛹が羽化する時を今か今かと待っているのだろう。
どんな虫が飛び立つのか、いつしか私もそれを楽しみにしていた。
その時は唐突に訪れる。馬の形のように見える、青葉を重ねたそれの背に美しい蝶の羽が生えた。
何度か羽ばたきを繰り返すと、それはペガサスのように空へと駆け上がった。
思わず窓に駆け寄り、その姿を目で追うも青葉の馬は空の青へと溶けていく。
私は手術を受ける決意をした。青葉のペガサスが勇気をくれた。
病気が治ったら、青葉のペガサスを探そうと思っている。
公開:21/05/17 20:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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