自分探し

僕は、僕を探して旅に出た。僕という確かな形を見つけ、僕のいるべき場所を見つけたかった。
僕の形はどんなものだろう？
宇宙人？
モンスター？
ユウレイ？
別の自分だろうか？
探しているうちに見知らぬ世界へ？
探しても、探しても、僕はどこにもいない。
汗をかき、足を棒にして。
東へ！西へ！
南へ？北へ？
もう日が暮れてしまい、何も見えない。
僕は明かりを求めて、暗い道をゆく。
僕は一人きり、僕を探している。
居場所はどこ？

懐かしい明かりを見つけ、急いで飛び込む。
この家。
荷物を放り出し、乱暴に靴を脱ぎ捨て、廊下を進む。
温かい匂い。
「僕を探す僕こそ、僕自身なんだね？ここが僕の居場所だね？母さん！」
「あらっ、ビックリした。誰か入ってきたと思ったら大きな声出してェ。
そりゃ、あなたは、あなたでしょ～。
でも、あなたの居場所は、ここにはないの。
あなたの家は、お隣りっ！」