お茶漬けの日
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「え、これ何?」
夫がぽかんと口を開けて食卓の丼を見た。
「何って、お茶漬けだけど」
「夕飯がお茶漬け?」
夫はとにかく肉があれば満足な人だった。
「五月十七日の今日はお茶漬けの日なんだって。あ、焼けた」
電子レンジから焼けた鮭の香ばしい香りがした。
「ほら、ちゃんと焼けてる。便利よねー。ほら、座って」
夫は渋々という風に席についた。私は自分と夫の丼の蓋を開けてご飯の上に鮭と小ネギを乗せた。
「出し汁かけるね。イクラ乗せる?」
「お、おお。豪華なお茶漬けだな。ん? お焦げもあるじゃないか」
「土鍋で炊いてみたの」
「ーーあ、そうか。魚焼き器も土鍋も俺が買ったのか。これなら俺でも作れるって」
「そうだったかしら」
夫は少し項垂れているように見えた。
「ほら、食べよう」
「ごめん、次は本当に俺が作るよ」
「それは楽しみね」
夫は美味しいと噛み締めるようにお茶漬けをすすった。
夫がぽかんと口を開けて食卓の丼を見た。
「何って、お茶漬けだけど」
「夕飯がお茶漬け?」
夫はとにかく肉があれば満足な人だった。
「五月十七日の今日はお茶漬けの日なんだって。あ、焼けた」
電子レンジから焼けた鮭の香ばしい香りがした。
「ほら、ちゃんと焼けてる。便利よねー。ほら、座って」
夫は渋々という風に席についた。私は自分と夫の丼の蓋を開けてご飯の上に鮭と小ネギを乗せた。
「出し汁かけるね。イクラ乗せる?」
「お、おお。豪華なお茶漬けだな。ん? お焦げもあるじゃないか」
「土鍋で炊いてみたの」
「ーーあ、そうか。魚焼き器も土鍋も俺が買ったのか。これなら俺でも作れるって」
「そうだったかしら」
夫は少し項垂れているように見えた。
「ほら、食べよう」
「ごめん、次は本当に俺が作るよ」
「それは楽しみね」
夫は美味しいと噛み締めるようにお茶漬けをすすった。
その他
公開:21/05/17 16:44
更新:21/05/17 16:57
更新:21/05/17 16:57
お茶漬けの日
五月十七日
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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