きつねの家族

「カゾクシャシンっていうの、とってみたいわ」
母さんきつねは言いました。
「そうは言っても我々はきつねだからね。ちょいと難しいお願いだなぁ」
父さんきつねは困った顔で言います。
「カゾクシャシン？そりゃ食えるのか？うまいのか？」
「やだなぁ、じいちゃん。カゾクシャシンってのは食べれないよ。ニンゲンの一族がオモイデを残すためにやるんだよ」
ぼうやぎつねが答えます。
「そんなもん残してどうする。腹の足しにもならんだろう」
じいさんきつねは興味がないようです。
「あっ！ちょうどお花見に来たニンゲンがカゾクシャシンをとるよ！混ぜてもらおう！」

カシャッ

「うわ！この写真、きつねが写ってる！全然気が付かなかったなぁ」
「ほんとだ！きつねもお花見してたのかもね。しかし、こうして見るとうちの家族の一員みたいだなぁ。おーい、弁当のおいなりさん食べるか？」
これにはじいさんきつねも大満足だったとさ。