投げキッスの投げ方

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「一体、お前はどこでそれを習ってきたんだ? え? 我流? 我流だって? ったく勘弁してくれよ、どうなってんだよ、今年の1年は……」

 教官はため息をつくと、

「いいか、一度しかやらないぞ」

 そう言って、完璧な投げキッスを決めた。

 ズダァァァン! ――彼のキッスにやられた女子生徒が、目をハートの形に見開き、卒倒する。

「おおー」
「さすが教官」
「素晴らしい……」

 賞賛のため息が漏れる中、教官はまんざらでもなさそうに、一度だけといった投げキッスをもう一度決めてみせた。

 そして、今度は男子生徒を見事卒倒させてみせると、

「このように、投げキッスは君たちの強力な武器になる!」

 そう力強く言い切った。

 ――ここは東京新宿にある投げキッス専門学校。

 5年前に開校してから今日まで、一学年10人の定員を超える応募が殺到している、大人気の専門学校である。
その他
公開:21/05/18 09:35

黒澤伊織( 日本 )

黒澤伊織といいます。2人組で小説を書いています。ショートショートは好きで、よく書いていますので投稿していこうと思います。ちょっと皮肉の効いた話とか、ダークめの話、また逆にお笑い系の話とかを作ります。よろしくお願いします!

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