居残り

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僕は入学当初から成績が悪く、1学期の期末試験が終わった辺りから学校で居残り学習をさせられている。
もう一人、笹木さんという女子がいて、彼女も同じ教室で僕よりも先に居残り学習を受けていた。
ある日、学習の休憩時間に、彼女は僕に話しかけてきた。
それまで彼女と僕は、一度も話したことがなかった。
「ねぇ、君は居残りについてどう思う。」
「えっ、どうって…嫌だなぁって感じかな。」
彼女の問いに対して、僕は思ったままを返した。
すると彼女は浮かない顔で
「わかるよ、居残りなんて嫌だよね。」
と言い、少し黙った。
会話の雰囲気が湿っぽくなると、自分が置かれている状況の惨めさが際立ってしまうと思い、僕は何とか話題を変えるべく
「そうだ。あと数日も経てば楽しい夏休みだし、それまでの辛抱だよ。」と明るく言った。
それを聞いた彼女は
「もう夏休みか…きっと勉強のことなんて忘れるほど楽しいだろうね。」と言った。
青春
公開:21/05/18 04:04

町田くん

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