失楽園

その星には､２つの楽園が存在した。

北から西の方､太平洋。
そこには、コウベが持ち上がるほどの高い青波が打ち寄せる、強風吹く海辺があった。そして、大空では、鷲と鷹が飛び交い、地上では、獅子と武士が獅子奮迅の如く戯れていた。彼らは争いながらも、和気藹々と暮らしていた。
　
一方、東から南の方､中央。
そこでは、満天の星降るハマに、燕舞い､大海に竜の落とし子､清流では鯉泳ぎ、そして大地では、巨人と虎が、虎視眈々と生息していた。彼らも互いに身を削りながらも、嬉々として共存していた。
　
そんな楽園に、一匹の蝙蝠が現れた。すると楽園は鳴りを潜めた。やがて、日は陰り、暗黒となった。
バットコントロールを失った楽園は、そのダイヤモンドのような輝きを失った。