卒婚旅行

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結婚して、一定の期間結婚生活を継続していた夫婦には、別れてそれぞれ自分がもう一度行きたい年へタイムマシンで遡る権利が認められた。

このサービスは特に人気を集めた。
卒婚旅行提供会社は、いつも大賑わいであった。
だが、サービスが浸透していったころから、卒婚旅行を成功させるテクニックというのが出始めた。
それは誰でもすぐに思いつくものだった。
ダンナが死ぬまで待って、それから奥さん一人で旅行に応募するのだ。これで、移動した過去の時代でダンナにまた巡り会う悲劇を防げる。
その逆のパターンもある。
お互いなかなか死にそうにないような家庭では、お互いに早く死んでほしいと、いがみ合う光景が見られるようになった。
だが、人気が高まり許容量を超えて、人が移動してきた過去の年から、移動してこないで欲しいと陳情があったという。それでも連日人が押しかけ、「ただいまの時間、25万人待ちです」などとなっている。
SF
公開:21/05/15 18:57
#ショートショート #短編小説 #ジョーク #タイムマシン #卒婚

N(えぬ)( 横浜市 )

読んでいただきありがとうございます。(・ω・)/
ここに投稿する以外にも、自分のブログに同時掲載しているときがあります。

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