台無し屋

ホテルの一室に男が横たわる。イタリア製の上等なスーツも着るのが死体じゃ台無しね。

「あの方の意思のままに。」

帰って頼んでおいたケーキでも食べよう。

どんな計画も、小さなミスで全て台無しになる。

二組の若手業者は、細工した車で崖から真っ逆さま。

バーテンダーは店ごとよく燃えたらしい。タバコなんてやめたらいいのに。

バッタ仮面の坊やたち、虫にはやっぱり毒ね。数が多いけどすぐ片付けなくちゃ。盗みはやっぱりだめだもの。

あの方に逆らうなんて、死んで当然。

神父気取りの変人もいたわね。
死体が増えそうだし、彼には仕事してもらわなくちゃね。

♢

マンションに戻ると部屋の前には発泡スチロールが置かれている。

「ケーキかしら、冷凍を置き配なんて非常識よ。」

－カチッ

持ち上げた瞬間、歯車が噛み合い全てが眩い光に飲み込まれた。

爆弾だ。

これじゃケーキもろとも台無しじゃない。