七本木
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おかしいな、たしか六本木の駅で降りたはずだが。
長いエスカレータを昇って地上へ出ると、そこには見慣れない風景が広がっていた。
太陽は明るく輝き、豊かな街路樹がサワサワとそよ風に音を立てている。
閑静な遊歩道にはおしゃれな雑貨屋やカフェが並んでいた。
塀の上には毛並みのいい猫が歩き、生垣の中には野兎が顔を覗かせている。
ちらほらと見かける通行人は皆穏やかな表情を浮かべ、誰もマスクを付けていない。
私が振り返ると駅の出口に「七本木駅」とあった。
ん?私は少しズレた世界にやって来てしまったのだろうか。
不意に遠い向こうから、わーと歓声が聞こえてきた。
私は通行人に声を掛けた。
「向こうで何かやってるんですか?」
「何って、オリンピックじゃないですか」
「え、東京オリンピック?何年の?」
「…2020年ですけど?」
不思議そうな顔をして通行人は去っていった。
やがて目の奥に少し熱いものを感じた。
長いエスカレータを昇って地上へ出ると、そこには見慣れない風景が広がっていた。
太陽は明るく輝き、豊かな街路樹がサワサワとそよ風に音を立てている。
閑静な遊歩道にはおしゃれな雑貨屋やカフェが並んでいた。
塀の上には毛並みのいい猫が歩き、生垣の中には野兎が顔を覗かせている。
ちらほらと見かける通行人は皆穏やかな表情を浮かべ、誰もマスクを付けていない。
私が振り返ると駅の出口に「七本木駅」とあった。
ん?私は少しズレた世界にやって来てしまったのだろうか。
不意に遠い向こうから、わーと歓声が聞こえてきた。
私は通行人に声を掛けた。
「向こうで何かやってるんですか?」
「何って、オリンピックじゃないですか」
「え、東京オリンピック?何年の?」
「…2020年ですけど?」
不思議そうな顔をして通行人は去っていった。
やがて目の奥に少し熱いものを感じた。
ファンタジー
公開:21/05/16 10:22
更新:21/05/16 10:27
更新:21/05/16 10:27
最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。
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