夢と走馬灯

0
2

夢を見た。
まるで下水溝に引き込まれるように、体が流されていく。
たどり着いた先は、博物館だった。その博物館はセピア色の光に包まれており、展示物は自分の記憶だ。
懐かしい思い出もあれば、苦しかった記憶もある。楽しく活力に満ちたにぎやかなもあれば、その後に続く静かな落ち着いた季節もある。
長かったようでも、過ぎてしまえばあっというまだ。様々な希望も、限りない後悔も、全て人類の歴史の波に揉まれて消えていく。
全ては順番。分かっていたはずなのに、なぜか、涙が止まらない。
人間は死ぬ直前に走馬灯のように人生を振り返ると言う。
だから、これはきっと自分の走馬灯なのだ。死の予行演習だ。
それと同時に、神様からの叱咤なのかもしれない。
「いまからでも遅くない、やり残したことに取り組め」
人生終わったようでも、まだ、生きている。心臓が脈打つ限り。
青春
公開:21/05/14 11:38

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容