救急車

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趣味の早朝散歩。静かな道を歩いていると後ろから救急車がサイレンを鳴らしてきて停車した。白衣の二人が「……さんですね」と私の名前を言う。そうだと答えると「急用です。乗ってください」とバックドアを指差した。理由を聞く間もなく急かされて私は乗り込んだ。「横になって」と背中を押されて担架に腕、脚、胸を硬いベルトで締められた。「何だ!」と言う口に酸素吸入マスクをあてられた。
またサイレンを鳴らして走りはじめた。「ご心配ですか」とスーツ姿の女性が頭上から話しかける。「いったい!」と私はマスクのまま叫んだ。「貴方の心臓を提供してもらいます」「誰に?」「国家の要人です。貴方と理想的な医学的相性の」「私は?」「人工心臓を付けます」「そいつに付けろ!」「人工臓器はリスクがあり、要人より貴方がリスクを負う方が国益に叶います」「誰が決めた!」「国の最高統括AIです」
吸入するのは酸素ではない。眠くなってきた・・。
その他
公開:21/05/15 10:43

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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