実話【臨死体験】生還した男

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何故知ってるんだ?俺が自他共に認める「エロエロ大魔王」だって事を。
ここはどこなんだ?紗が掛かったセピア色の風景。明らかに現実の世界ではない。
数メール先に、いい女がいる。何だ、あの華麗なフィンガーアクションは。まるで、夏木マリの「絹の靴下」のそれだ。
エキゾチックな顔立ち。肉感的なボディ。明らかに、俺を手招きしている。薄手の服から透けている、極小のパンティ。
もうたまらない。何かで知っていた、川はなかったので、行く気だったら行ける。
その時だった。
「目が覚めましたか?」
リハビリの理学療法士の女が立っていた。
「丸一日、眠ってたんですよ。今、先生呼んできますから」
2011年5月19日。前日、脳梗塞で倒れ病院に運ばれた。脳幹を損傷。
6月17日退院。妻が運転する車中。
「脳幹だから、ノーカウントだったか?」
「何馬鹿な事言ってるの。誰かが必要としているから、あなたは死ななかったのよ」
その他
公開:21/05/15 10:35
更新:21/05/16 15:22
森ヒロタカさんリクエスト 心肺停止も脳死もなかったが これが自分にとっての臨死体験

渡辺 隆一( 千葉県野田市 )

千葉県野田市在住の、渡辺隆一です。
小学4年生の頃から、文章を書くのが
好きで、今も、趣味で書いています。
ショートショートが、好きです。

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