人間vs花粉

　203X年、年々深刻化するスギ花粉によるアレルギー症状に、人々は苦しめられていた。
　止まらない鼻水、くしゃみ、目の痛みにより、人々は家から出ることができず、日本の消費活動は停滞し、経済は大打撃を受けていた。
　また、医療従事者の負担は大きく、国内の耳鼻科はどこも激しく疲弊していた。
　そんな中ついに日本政府は壮大な計画を国民に発表した。
「スギ花粉撲滅計画」
　それは、膨大な人員、コストを投下し、国内にある杉の木を伐採したり、各都市に大きな集塵装置を設置したりするというものだった。
　世論は賛否両論だったが、「事態は十数年前のウイルス蔓延時よりも深刻」との見方が強く、計画は強行されることになった。
　一方そのころ、隣国の大手飲料メーカーは、飲むだけで花粉症の症状がなくなる「爽健鼻茶」を開発した。