Ⅲ.四章 ともだちトせんせい 3/3

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「困りますねぇ」
 いつの間にか、部屋の入り口に所長と看守がいる。
「所長」
「やはりここでしたか。収容者に違法電波を聴かせるなと、何度言わせたら気が済むんですか?」
「申し訳ありません。気が緩んでいました」
「しっかりしてください。休暇は昨日までのはずですよ。おい。二人を作業棟へ」
「はい」
「あ。今日も会えたね」
「あ、うん…」
「今度は、逃がさずにな」
 所長の言葉に身を強ばらせる看守。無言で二人を外へと促す。
「行こうか」
「うん」
「せんせい。それじゃまた」
「ええ」
 部屋を出ていく三人。
「所長。ハックは隔離室ですか?」
「ハック?収容者は番号で示してほしいですな。奴なら明日部屋に戻しますよ」
「そうですか。ちなみに健康診断には行かれましたか?」
「またそれですか。生憎あなたのように、休暇を取って帰省する暇もないものでね。では」
 部屋を出ていく所長を、無言で見送るせんせい。
SF
公開:21/05/14 23:18
連載 SF 戦争 差別

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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