パパの腕時計

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スマホで時間がわかる時代、私は女だてらに男物の腕時計をしている。男であろうと女であろうと、どんな腕時計をしようと自由。私の自由。
私はこの腕時計が好き。パパがしていたこの腕時計が好き。パパはこの腕時計がお気に入りだった。私はこの腕時計をしているパパが好きだった。パパの形見の腕時計。

交差点で信号を待っていた私は不意に腕時計に視線をやり、時刻を確かめようとした。すると突然、時計のベルトが切れて私の靴の甲の上にぽてっと落ちた。私が時計を拾おうとして屈んだ瞬間に交差点で事故が起きた。車同士が衝突して、車の破片が私の頭上を掠めた。すれすれに通り過ぎた。もし私が直立したままだったらと思うとゾッとした。

パパが守ってくれたのかな。
私はスマホを取り出すと119番へ通報した。
その他
公開:21/05/13 20:47
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前虎( https://mobile.twitter.com/mae10ra )

はじめまして。
前虎と申します。
作品を読んでいただけたら嬉しいです!
よろしくお願い致します。
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