失踪電力スイッチギア

ある日、経済産業省の電力スイッチギアが忽然と姿を消した。電力ギアは数メートルもある省庁電力制御基幹配電装置である。機械室を巡回にきた警備員が発見した。予備電源が作動したが、関係者は大騒ぎだ。電力事業統括の経産省の基幹ギアの盗難は大スキャンダルである。大臣は極秘事項とした。警視庁が犯人の手がかりを掴めないまま三日後に電力ギアが戻っていた。真夜中に戻されたらしく警備員が早朝に発見した。右往左往した関係者らは無事な電力ギアを狐につままれた顔で見た。

数ヶ月後、中近東某国で富裕層だけの秘密の競売会が開催された。目玉商品は日本の経産省の電力スイッチギア。ある富豪が数億円で競り落とした。使い古した制御盤、経産省資産の銘板、回路基盤なども精巧に複製されている。アート作品のようだが公開も鑑賞もされない。レプリカだから骨董品ではない。経産省の慌てた映像履歴データ完備。将来値上がり間違いない投資物件である。