浪漫ホリデー

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ノミオが焼きそば専門店に並ぼうとした春日。オードリー・ヘップバーンも真っ青なエド風絶世美女が歩いてきた。いや真っ青というよりかはセピア色とも言っていい。その彼女がノミオに話しかけた。どうやら彼女はお昼を食べ終え、夜はすき焼きを食べたいらしい。どこかおいしい店はないか、それをノミオに尋ねたのだ。ノミの心臓を持ち、ノミの脳みそを持つ男として異名を持つノミオは思った。
“肝っ玉ちっぽけな蚤のような俺がこんな美女とめぐり逢えるなんて。チャンス、おぉ神よ、有難う”、彼のその小さな心は踊った。まるで蚤がぴょんぴょん跳ねるように。

満面笑みの彼女を前に、
あのー、ノミオは出かけた言葉を一度はひっこめた。
あのー、意を決して彼は言った。歯に青のり、ついてます…
アリガト、と彼女。その歯には依然、青のりが…。
彼の心の小躍りが完全なる停止状態に陥った時、そこに彼女の姿は無かった。それは淡い浪漫の儚い休日。
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公開:21/05/13 05:55

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