Ⅰ.052 ペルビエの攻防~鳴声~

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 主人とわたしは通路を駆け、メインホールへと戻った。
 警備は打ち合わせ通り、持ち場を離れず、直接の対応は館員に任せていた。
 来館者は、不安にかられる者よりも、盗縛劇開演に胸躍らす者が多く、我々に気づいた者が携帯を向け始めている。
『こちら審門です。来館者が集まっています。通してよろしいでしょうか?』
 ヒトだかりで様子が分からない審門側から無線があった。明らかな陽動だが、緊急時に避難路を閉じるなんてことはできない。今のところは、蒼猫の流れで話が進んでいる。
「通してくれ。滞らせず、急かしながらゆっくりとだ」
 パニックを避けるために、急かしながらも通常より緩やかに手順を進めさせる。
 指示通り、審門の警備員が来館者へ呼びかけ始めた。しかし、実際に審門を抜ける者は少なく、我々同様に奴を待ち受けているようだ。次第に退館者も少なくなり、多くの目が審門に集まった。
 その時-
「なぁ~~~ん」
ファンタジー
公開:21/05/10 20:46
ファンタジー 連作 怪盗 探偵

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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