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「爺ちゃん、宝探ししていい?」「おぅ、ええぞ。思う存分探してこい」
僕はヘルメットを被ると爺ちゃんの頭の中にダイブする。
『よく来たな』
田舎の大きな家の前、生意気そうな少年が僕に声をかけてきた。少年時代の爺ちゃんだ。
『今日は何する?この前床下で見つけたメンコで遊ぶか?それともベーゴマか?』
『それもいいけど、今日は蔵を掃除しようよ。爺ちゃん、ちょっとボケてきているからさ』
僕の言葉に少年は少し嫌そうな顔をした。
『掃除しなきゃ、僕の事も忘れちゃうよ』
『…分かったよ』
少年と僕。記憶の蔵へ入る。
埃を被った記憶の本を一つ一つ磨き上げていく。果てのない作業だ。
この中に爺ちゃんの遺産の隠し場所が書かれたヒントがあるかもしれない。でも今は遺産より寝たきりの爺ちゃんに長生きしてもらう方が大切だ。
だって、爺ちゃんがいなくなったらもう宝探しできないんだから。
僕にとってはこの時間が宝物なんだ。
SF
公開:21/05/10 20:12

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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