時の流れに身をまかせ

14
7

「敦くーん!」
ごった返す人の間から懐かしい顔が現れた。
「さっちゃん!久しぶりだなあ。わざわざ来てくれたんか」
「ここ、初めての人は絶対迷うから迎えに行った方がいいだろうって。みんな待ってるよ。叔父さんなんか久々に会えるからって、ばっちり宴会の準備してる。ほんとは自分が飲みたいんだよねー」
親父の酒好きは相変わらずか。
「―敦くん、おうちの方は大丈夫?」
俺は黙って俯いた。
「…心配だよね。でもまたすぐに会えるよ。だって最後に敦くんに会ってから今日まであっという間だったもん」
俺の目からぽつりと涙が落ちた。
「そうか…またすぐ会えるのか…よかった…」

俺は来た道を振り返った。
遠くに妻や娘たちの姿が見える。
泣かないでくれ。
悲しまないでくれ。
また会えるその日まで、俺はここでみんなと待ってるから…

「さ、行こう」
懐かしい従姉に手を委ね、俺は眩い光の向こうへゆっくりと歩いていった。
その他
公開:21/05/10 23:29
3日前 夫の親戚に不幸があり バタバタしていました あまり近い間柄ではないけれど 頂いたご縁と想い出に 感謝を込めて捧げます タイトルは斎場で流れていた BGMから #119

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

【note】
 https://note.com/akishiba_note
  登録なしで読めます。

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容