拾ったサイフ

散歩中に路肩に落ちている小ちゃなサイフが目に入った、拾うべきか躊躇した。まだ汚れていないし落とし主が気が付き、直ぐに探しに戻ってくるかも知れない。
そのまま置いておく方が良いかなとも思ったが、つい興味本位に拾い上げて中身を確認すると、五円玉一つと四つ折りに畳んだ紙切れが入っていた。
そのメモを読むと、このサイフを手にした貴方には、何かご縁を感じます。
この庭園に財宝を隠してあります、全て貴方に差し上げますと記されていた。
それは実在する有名な庭園だが、ゆうに東京ドーム二つ分の広さはあろう。その箇所がピンポイントで指示されていなければ、到底発見は無理だろう。
でも何かの拍子に見付けられれば、儲けものだと勇んで出掛けてみた。
一日中足を棒にして庭園内を歩き回るも、何も発見できない。あ～疲れた、損しただけだ！

すると天から声が聞こえた。「骨折り損のくたびれ儲け」儲かったではないか！
トホホ！