条件反射の教科書

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私には他者と共感する能力がないので、強烈な同調圧力に支配されている日本で暮らすのは、大変に難しい。
その困難を乗り越えるために非常に役に立ったのが「条件反射の教科書」(著:アイウ・江尾 火星出版 1945)である。ここには、相手に「こんにちは」と言われた時の反応の仕方など、地球人の行動に対する適切な処置を網羅した宇宙人向けのマニュアル本だ。

地球に転生する時には、通常、宇宙の履歴を封印する。
しかし、最近は未知なる体験・スリルを求めて「ランダム封印」という、ボロボロのビニールで記憶を包むような処理をして、地球に転生するのが流行っている。本人は面白いが、地球人には困惑と恐怖を与えるらしい。
だから教科書は必須だ。脳内記憶型と、物質の本型がある。
本型は「紛失する」スリルを味わえる。

自分のやるべき行動がわからないなんて、宇宙では考えられないアトラクションだ。
SF
公開:21/05/09 11:03

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