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言葉は味がしない。手触りもないしましてや匂いもしない。

ぼくの網膜を通過した文字達が山積みになってる。軽い手触りが味気なくてかなしかったので試しに倒れ込んでみると無数の文字達が舞い上がりぼくの上に降ってきた。

人の発する言葉はあんなに醜いのにぼくに降る文字は泣いてしまうほど美しかった。

間もなく眠気がぼくを襲う。長い長い眠りもぼくには短すぎて。全部全部が欲に塗れて醜く臭う世界ではねむりだけが優しい。

ぼくが死んだらぼくの名前だけがここにある無数の文字に紛れて残るといいな。

おやすみなさい。人を愛せず人の言葉を信じられず人を傷つけることしかできなかったぼくの終わり。あまりに寂しく、あまりに痛々しい。
ファンタジー
公開:21/05/09 02:08

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にゃんこ〜

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