勝者にはなれないが敗者にはならない

開催予定の試合が中止

昨年から今年にかけて何度も聞いたはずのそのセリフが私たちの頭の中を反芻した

今回が初めてではない
けれど、その言葉の重みが今回は違った

「間に合わないかもしれない」

そんな言葉が何処からか聞こえた

「最後の試合は二週間後なのに」
「あんなに練習したのに」

私たちは強豪校ではない
この夏に負ければ部活を終え、受験のためにボールを置いてペンを持たなければならない

だからこそこの夏の大会は私たちにとって「人生最後」の試合、とも言い換えられる

頭の中で巡る汗に塗れた泥臭くも大切な思い出

シュートを決めれば手を合わせ、胃の中の物を逆流させそうになりながらもちぎれそうな横腹を抑えて走ったあの日

私の言葉が体育館に響く

「私たちはもう勝てないかもしれない」

私たちは強豪校ではない
だけど

「この"現状"には負けないよ」

全ての部活生に最後まで最高の青春を