酉星 -とりぼし-

緊急事態宣言化の日常。
酒造メーカーは会食時に『酔う』事が問題視される風潮を憂いだ。
「今や酔わない酒では訴求力が乏しい。新しいジャンルを開拓したい」と「むしろ醒める」をコンセプトに新しい飲料「酉星」を発表した。
味わいはチューハイと変わらず最大の売りは飲む程に『醒める』という事だった。
アルコール成分の働きを真逆にするように成功したとあるが詳細は企業秘密だ。
飲酒の代用という枠を超え新感覚が得られると大ヒットした。
しかし発売から3ヶ月と経たない内に発売禁止となる。

分類は酒だが集中出来ることから受験生(未成年)の飲酒、また親の黙認が横行し健康被害が報告された。
さらに冷静になるが故『酔い潰れる』に変わる『醒め見限る』という新たな心理状態が発生し自殺者が増加した。
社長は会見を開き
「我々の意図しない状況になった事猛省しております。初心に帰り『何事もほどほどに』を皆様に周知したいと…」