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散歩中、いつもと違う角で曲がったら、全然知らない場所に出た。
公園かな。芝生の広場を緑の生け垣が囲んでる。寄ってみようと入口を探してると、生け垣の奥がちかちか光った。
蛍の時期には早いよね。しゃがんで探ろうとしたら、
「触っちゃいけないよ」
ほうきを持ったおじさんに止められた。
「それは昼の星。天に昇る準備をしてるんだ」
「星はずっと空にあるんじゃないの?」
聞き返すとおじさんは笑って、生け垣をそっとかき分けた。
生け垣の中に、小さな白い花がたくさん。その中の一つが光ってる。
「一番星だ。もうすぐ昇る」
ちかちか――光がまたたいて、消えた。
空を見る。
――ちか。白い星が一つ。
「ここは『満天星公園』。星が通う公園だよ」
おじさんが書きながら教えてくれる間に、生け垣は星でいっぱいになった。
「もう遅いよ。君もお帰り」
ほうきをひと振りして、おじさんも消えた。
空に一筋、ほうき星が流れた。
公園かな。芝生の広場を緑の生け垣が囲んでる。寄ってみようと入口を探してると、生け垣の奥がちかちか光った。
蛍の時期には早いよね。しゃがんで探ろうとしたら、
「触っちゃいけないよ」
ほうきを持ったおじさんに止められた。
「それは昼の星。天に昇る準備をしてるんだ」
「星はずっと空にあるんじゃないの?」
聞き返すとおじさんは笑って、生け垣をそっとかき分けた。
生け垣の中に、小さな白い花がたくさん。その中の一つが光ってる。
「一番星だ。もうすぐ昇る」
ちかちか――光がまたたいて、消えた。
空を見る。
――ちか。白い星が一つ。
「ここは『満天星公園』。星が通う公園だよ」
おじさんが書きながら教えてくれる間に、生け垣は星でいっぱいになった。
「もう遅いよ。君もお帰り」
ほうきをひと振りして、おじさんも消えた。
空に一筋、ほうき星が流れた。
ファンタジー
公開:21/05/06 22:19
散歩道で見た
シーズン4-⑩(終)
星の公園
満天星(どうだんつつじ)
またいつか、次の散歩道で。
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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