みどりの手

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僕の朝は早い。
起きてすぐ、花に水をやるのが日課だ。

「ありがとう。いつもお世話してくれて」
誰の声?

「お願い。仲間を増やして」
身体が緑の光に包まれる。
持っていたジョウロは、紫のツツジに変わっていた。

ドアを開けようとすると、赤い薔薇に覆われている。

「まいったなあ」
思わず、空を見上げた。

「申し訳ありません。私は花の女神です」
緑色の衣を着た女性が立っている。
「あの子たちが、勝手なことをして」

「この手袋を使ってください」
真っ白な手袋には、派手なスパンコールが縫い付けてあった。

これは、やるしかない。
手袋をはめて踊り出す。
音楽はマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」。

ムーンウォークを決めた僕を見て、女神は苦笑いした。
「人間って、おかしいですね」

ジョウロもドアも元通り。
だけど、何かが違う。
風が冷たい。

薔薇のせいで、服に穴が空いていた。
ファンタジー
公開:21/05/04 14:53
更新:21/05/04 15:02
そるとばたあ生誕記念

ろっさ( 大阪府 )

短い物書き。
皆さんの「面白かったよ!」が何よりも励みになります。誰かの心に届く作品を書いていきたいです。

54字の物語・更新情報はTwitterでチェック! ぜひ遊びに来てください。
https://twitter.com/leyenda_rosa

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