木漏れ酒

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よく晴れた新緑の美しい休日、森の中にある青空レストランのテラス席で、木漏れ酒を飲んだ。
木漏れ酒は、見た目が無色透明の蒸留酒だが、茂った木々の葉の間から降り注ぐ日光が当たると、鮮やかなグリーンに変わり、木漏れ酒が入ったグラスに万華鏡の模様を映し出す。
また、雨上がりの日にカーテン状の日光が当たると、乳白色のグリーンに変わり、グラスにオーロラのような光の波紋を映し出す。
そして、グリーンカーテンのようにテラス席周辺の日差しを遮ると、そのあとに吹く爽やかな風が揺らす葉のざわめき、流れる水のせせらぎの音、漂う冷涼な空気など、まさに森林浴だ。
そのため、木漏れ酒を飲んで酔っ払っても、身体が熱くヒートアップせず、気持ちよくクールダウンされて不思議な感覚を楽しめる。
ほろ酔い気分の中で、日光に誘われて上空から舞い降りる天使や、森に住む妖精たちと仲良くなれるのもメルヘンチックで木漏れ酒の醍醐味の一つだ。
その他
公開:21/05/04 07:02
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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