夢の中の喫茶店
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カランコロン。
僕は今夜も、その喫茶店の扉を押した。
「いらっしゃいませ」
年老いた主人が柔らかな声で言った。
またこの夢だ。
僕が古びた喫茶店に入り、窓の外を眺めるだけ。
そんな映像を、天井の方から客観的に見ている本当の僕。
幽体離脱のような感じといえば分かりやすいかもしれない。
「ご注文は?」
気がつくと、もう一人の僕の隣には主人が立っていた。
おかしい。
こんな展開は今までになかった。
「コーヒー。ブラックで」
もう一人の僕がそう言うと、湯気を立てたコーヒーが机の上に現れた。
相当喉が渇いていたのだろうか。
ゴクゴクと喉を鳴らして飲むと
「甘い……」
そう呟いた。
甘い?
「知っていますか?」
主人が言った。
「夢の中の飲み物はすべて逆になるんです。味も、効果も。つまり、あなたはもう二度と……」
そう言った瞬間、主人は天井に浮かぶ僕の方を見て微笑んだ。
僕は今夜も、その喫茶店の扉を押した。
「いらっしゃいませ」
年老いた主人が柔らかな声で言った。
またこの夢だ。
僕が古びた喫茶店に入り、窓の外を眺めるだけ。
そんな映像を、天井の方から客観的に見ている本当の僕。
幽体離脱のような感じといえば分かりやすいかもしれない。
「ご注文は?」
気がつくと、もう一人の僕の隣には主人が立っていた。
おかしい。
こんな展開は今までになかった。
「コーヒー。ブラックで」
もう一人の僕がそう言うと、湯気を立てたコーヒーが机の上に現れた。
相当喉が渇いていたのだろうか。
ゴクゴクと喉を鳴らして飲むと
「甘い……」
そう呟いた。
甘い?
「知っていますか?」
主人が言った。
「夢の中の飲み物はすべて逆になるんです。味も、効果も。つまり、あなたはもう二度と……」
そう言った瞬間、主人は天井に浮かぶ僕の方を見て微笑んだ。
公開:21/05/04 21:59
ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
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