ガム・ポップ

CMの音楽や番組のBGMなどで活躍をする、友人の作曲家から連絡があった。
「こんどチョット面白い作品を作ったよ。試しに聴いてくれる？」
「どんな音楽？」
「“ガム・ポップ”っていうんだ」
その名を聞くと、甘ったるい流行り歌のようだが、違うらしい。

「この曲はね、聴いている間だけ、気分が変わるんだ」という。
たとえば、眠気覚ましの音楽。曲が鳴っていると、頭がスッとしてシャキッとする。
そして、音がしなくなると、元に戻る。

「へー、フシギだね」 私が言うと、
「うん、よく眠気覚ましのガムやアメがあるでしょう。それと同じ」
「ほお」
「曲をかける長さを調節すれば、その間だけ“ある気分”になれるってわけ」
それは面白そうだ、ぜひ聴かせてよと頼んだ。

ゆくゆくはそれを商品化したいという。
他には、鳴っている間だけ興奮する音楽というのも考えているらしい。
ううむ、面白そうだ。それも聴いてみたい。