ブッポウソウ

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仏教の聖地、須弥山。ここに「ブッポウソウ」と鳴く鳥がいる。
山林に瑠璃色の美しい霊鳥がいて、空海が「仏法僧」と名付けた。
空海の漢詩文集『性霊集』の「後夜聞佛法僧鳥(夜明けの勤行で「ブッポウソウ」と鳴く鳥の声が聞こえてくる)」にも

閑林獨坐草堂暁、
三寶之聲聞一鳥

暁のころ静かな林の草堂に独り座っていると、三宝を一度に唱える鳥の声が聞こえてくる、とある。
しかし、仏法僧は「ブッポウソウ」と鳴かない。
菩薩となった聖徳太子が鳳凰に乗って舞い降りると、自身が制定した十七条憲法の第二条を唱えた。
「二に曰く、篤く三宝を敬え。三宝とは仏法僧なり」
すると、三宝柑をくわえたフクロウの仲間のコノハズクが飛んできて「ブッポウソウ」と鳴いた。
そして、仏法僧は「ゲッゲッゲッ」と濁った声で鳴くと、そのまま飛び立った。
のちに、仏法僧は「姿のブッポウソウ」となり、コノハズクは「声のブッポウソウ」となった。
その他
公開:21/05/03 07:01
仏教 須弥山 ブッポウソウ 霊鳥 空海 仏法僧 『性霊集』 三宝 聖徳太子 十七条憲法

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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