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あの日、僕は見たんだ。
「あ。父さん見たぞ。今日は子供の日だろ。子供じゃない父さんまで柏餅食べてずるいぞ!」
「バカヤロウ! 俺はお前の父さんだがまだ子供だ。その証拠に見ろ! 俺たち鯉は滝を登り切ったら立派な龍となり天に昇る。父さんは鯉のままだ。滝を登り切ってない子供だ。だから柏餅もたらふく食って大きくならなきゃならん。わかるな」
その時、僕は見たんだ。
立派な龍が現れ、手に持つ玉で父さんの頭に拳骨入れるのを。
「あ痛っ!」
「ばかもん! 屁理屈ばっかこいてないで、お前も早く昇ってこんか!」
「うわっ親父⁈ やばい。そろそろ踏ん張り時だな」
龍が持つ珠は如意宝珠と呼ばれ病を治したり、災いを避けたり、あらゆる願いが叶う神聖な玉だ。しかし最近は大人になり切れずのんびりしてる真鯉に拳骨を入れる道具となっている。
僕は見た。
爺ちゃんに拳骨をくらった父さんのタンコブから小さな角が生えてきてるのを。
「あ。父さん見たぞ。今日は子供の日だろ。子供じゃない父さんまで柏餅食べてずるいぞ!」
「バカヤロウ! 俺はお前の父さんだがまだ子供だ。その証拠に見ろ! 俺たち鯉は滝を登り切ったら立派な龍となり天に昇る。父さんは鯉のままだ。滝を登り切ってない子供だ。だから柏餅もたらふく食って大きくならなきゃならん。わかるな」
その時、僕は見たんだ。
立派な龍が現れ、手に持つ玉で父さんの頭に拳骨入れるのを。
「あ痛っ!」
「ばかもん! 屁理屈ばっかこいてないで、お前も早く昇ってこんか!」
「うわっ親父⁈ やばい。そろそろ踏ん張り時だな」
龍が持つ珠は如意宝珠と呼ばれ病を治したり、災いを避けたり、あらゆる願いが叶う神聖な玉だ。しかし最近は大人になり切れずのんびりしてる真鯉に拳骨を入れる道具となっている。
僕は見た。
爺ちゃんに拳骨をくらった父さんのタンコブから小さな角が生えてきてるのを。
ファンタジー
公開:21/05/03 01:04
創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
どうかよろしくお願いいたします。
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