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好物の卯の花煮を口にすると大豆の素朴さがふわっと充満した
食むと おだしとほのかな大地の風味が卯の花煮に深みを持たせていた
ひとくち
ひとくち
美しい透漆の水戸春慶が姿を現したことで 卯の花煮ががらんどうになっていることを伝えていた
縁側の向こうでは 真っ白なうつぎの花が咲いている
あなたはふやっと微笑むとうつわを手にして 台所へ向かった
ゆきひら鍋からがらんどうになったうつわにいそいそと 卯の花煮をたんまり盛りつける様が見えた
「どうぞ」
「ありがとう」
卯の花煮の香りががらんどうだったうつわを満たす
あなたの存在がからっぽだった私を満たしてくれた
あなたの隙間を私もこうして満たすことが出来るのだろうか
隠した不安をくつくつ煮込む
料理上手のあなたに敵う日までは如何ほどかしら
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公開:21/05/04 01:50

真月。

ご覧いただき ありがとうございます。
よろしかったら読んでみてください。
作品の絵も自身で描いております。

コメントや☆など とてもありがたく思っております。ありがとうございます。
のほんとしたお話や癒しとなっていただけるようなお話を描けたらと思っております。

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