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今日のプールの授業はテストがある。泳ぎが苦手な私は朝から憂鬱でならない。
真っ青な顔で授業を受けてると先生から「具合悪い?」と聞かれたので頷くと保健室へと向かった。
誰もいない保健室。ちゃぷちゃぷと水の音が聞こえる。音の方に目を向けると黒板が青に染まっていた。
青板…とでも言うのだろうか?そっと手を触れると青板は波紋を生み、雨水が水溜まりに落ちるかのように私を飲み込んだ。
青板の中、私は人魚となって泳いでいた。泳ぐ事がこんなに気持ちいいなんて知らなかった。
隣を見ると保健室の黒板に書かれている文字が魚となって泳いでいる。
まるで言葉の海を泳いでいるようだ。凄く幸せな気持ちになった。
ハッと目を覚ますと保健室のベッドの中だった。
黒板の色は黒。どうやら夢を見ていたようだ。がっかりしてため息が漏れる。
吐息に吹かれた指先からさらさらと青色チョークの粉が舞う。やっぱり夢じゃなかったかもしれない。
公開:21/05/03 19:08

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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