ばあちゃんのあげた悲鳴

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その夜は満月だった。
青白い月が異様なほどの輝きを帯び、建物や木々の影を深く象っていた。
窓から差し込む月明かりですら、ゆらゆらと僕らの顔を照らした。
寝室へ行こうと階段に足をむけたちょうどその時…
 きぃいやああああぁあああぁああぁぁあ
風呂場からこの世の終わりのような叫び声が聞こえた。今入っているのは、ばあちゃんだ。
ばあちゃんどうしたんだ!と駆けつけようとしたが、俺の足は己の恐怖を察知してか動かない。
だって、数日前…
俺は風呂場にかけてあるばあちゃんの鏡が曲がっていることに気づいてしまったのだ。鏡に写った自分が、本来の二分の一ほどに細く見えたからだ。
ばあちゃんも鏡が曲がっていることを知っていると思ったんだけどなあ。どうやら気づいていなかったようだ。
俺は気づかなかったふりをして、二階へと上がった。
その他
公開:21/05/01 23:11

かさ( 愛媛 )

来年以降のいきかたが決まりましたヽ(=´▽`=)ノ

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