窮地に文字神様

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お目当ての品はもう手中だ。後は逃げるだけだ。
だが下見では無かった場所にアレが増えてやがる。
「盗人に手を貸すのは神としてどうかと思うけど」
突如目の前に出現した幻覚が喋りだし気を失いそうになった。
「私、文字神いいます。あんた今、強く神の助けを願ったでしょ。近くにおる神が駆けつけるシステムになってるのよ」
くそ、幻覚がうるさい。
「幻覚ちゃうわ。盗人かぁ…1字変えたる。ノーヒントが条件や!さぁどうする?」
気が散る。強行突破しかないか。アレを凝視しながら無意識に声を出していた。
「『か』を『ら』に変えろ」
「勘鋭いなぁ」カカカと幻覚は消えた。
途端に監視カメラがそっぽを向いた。スキを見て走り抜けた。
「乱視…」
安全な場所まで逃げ、ポケットを確認するがあるはずの戦利品が無い。確かに激レアカードを入れた。
「あ、ラー…」膝から崩れ落ちた。
掌にはベッタリと油が纏わりついている。
その他
公開:21/05/02 17:01
更新:21/05/02 17:35

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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