虹の根元

虹の根元には宝物が埋まっている。

そんなおとぎ話を信じていた。
「虹が出てるよ！根元に行ってみよう！！」
雨上がり、ぬかるんだ地面を蹴って必死に虹を目指して走っていた。




そして、僕は今でもそのおとぎ話を信じている。
「お、虹が出てる！ちょっと行ってくる」
そう言って自転車に跨る僕を、友人達は笑った。
「いつまで子供気分なんだよ」
そう言う友人を、今度は僕が笑う。
「子供だろうが大人だろうが、夢を見る権利はあるだろ」
少なくとも、明日返却されるテストの点数を予想して気分を沈ませるよりは。
虹の根元に埋まっている宝物を想像する方がずっと楽しいに決まっているのだ。

そして、僕は今日も虹の根元を目指す。