狸の腹鼓

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狸が「ポンポコポンポコ♪」と、お腹を鳴らしながら歩いていた。
すると、太鼓メーカーの社長が「狸さんに折り入ってご相談があります」と寄ってきた。
狸は何事かと聞けば、「実は最近、我が社の太鼓の音色が心に響かず、業界トップの実績も落ち込み、今や会社の存続問題にすらなっています。
狸さんの腹鼓の響きは何とも言えぬ味もあり、しかも人の心を癒やし、高揚させ、楽しくさせる魔法のようでございます。
我が社の音響精密分析機を使い、狸様の腹鼓音の音色・周波数・瞬発力や空気中の伝導率、そして人間の脳波に与える影響などのデータを取得させて頂きたく考えています。
その分析値を解析し、最高の太鼓を製造して業界トップの威光を回復しようと考えています」

狸は「承知しました。お役に立てるなら何なりとお申し付け下さい。協力させて頂きましょう、ポン♪」
その後、狸監修の太鼓は大ヒット商品となり、会社の経営危機を救った。
ファンタジー
公開:21/04/30 04:59

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