4月30日

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僕のお父さんは探検家だ。
人類未到の地を目指して、2ヶ月前に家を出て行った。待ってればいつも通り、達成感に満ちた「ただいま」の声が響くと思ってたけど、なかなか帰ってこない。

そろそろ心配だ、と思った今日、ちょうど電話がかかってきた。人類未到の地に到達して、新生物を捕獲したらしい。世界に衝撃が走るほどの快挙だった。

我が家は大喜びした。お父さんは電話越しに、家族で盛大にお祝いをした。

その日は我が家にとっての記念日になった。


私のお父さんは警備員。
いつも大変そうだけど、家に帰ってくると私の話を優しく聞いてくれる。それから、遠い所の話もしてくれる。

遠い所には、二本足で立つ生き物がいるらしい。お父さんは、そういう未知のものから、この世界を守ってる。

今日はその生き物がどんな風に歩くのか聞いてみようと思ってた。

でもお父さんは帰ってこなかった。

その日が彼の命日だった。
ファンタジー
公開:21/04/30 00:58
更新:22/03/27 11:16

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