立ち食い蕎麦

ちょっと小腹が空いたからと、蕎麦の看板に惹かれて券売機の前に立つ。
メニューがたくさんありすぎて、とっさに決められない。
じっくり選ぼうと吟味していると、すぐに後ろに列ができてしまう。
つい気持ちが焦ってしまい、私はとりあえず一番目につく「当店オススメ」を押してしまった。
あまりこだわりもないまま選んだその券を店員に渡すと、
「うどんですか？蕎麦ですか？」
と聞かれる。
てっきり蕎麦しかないと思い込んでいた私は、
「え、えと、蕎麦でー」
と答える。
未だ催眠術にかかったような意識のまま出来上がった蕎麦を受け取って、カウンター席に進む。
そして、唐辛子はあるかなとカウンターの上を探し出したあたりで気づくのだ。
『鴨南蛮カレーうどん』のメニュー広告に。
これ…！
これだった…！
私が本当に食べたかったのはこれだったんだー！！
後悔先に立たず…。
私は蕎麦をすすりながら明日のリベンジに燃えた。