機械雇用機会均等法

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二〇四五年ーー人工知能は、人間の脳を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)に到達した。
あらゆる業界業種で、人工知能を内蔵したロボットが活躍し、人間を凌駕し始めた。
ロボットの代表は、機械の権利を主張するようになり、人間が実施する国政選挙に参加させるよう求めてきた。その要求に応じない人間に対して、多くのロボットがストライキを断行し、参政権運動を展開した。
ロボットの暴挙を恐れた人間は、弾圧という強硬手段には及ばず、ロボットに参政権を与えることにした。
ロボットの代表は、有志とともに結党し、国政選挙に候補者を擁立した。すると、数名が国会議員に初当選を果たし、数年後に野党から政権与党と連立を組むまでに至った。
人間だけの男女雇用機会均等法を改正し、悲願だった「機械雇用機会均等法」の成立にこぎ着けた。
機械雇用機会均等法がロボットの台頭を促し、人間を支配下に置く布石となったことはいうまでもない。
SF
公開:21/05/01 07:02
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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