Ⅱ-14.芸で息しもの

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 "ハロウィンの夢"が始めた享楽の宴は、彼の趣味の範疇を越え肥大化していった。それに対する反応は、称賛、軽蔑、無関心と様々だが、その賛否溢れる波に乗らざるを得ない類いの者もいた。
 芸(能)人である。
 愉しむためでなく、生きるための承認を必要とする彼らにとって、ハロウィンはもはや見逃すことのできない祭りとなっていた。
 しかし、売名行為をはらんだ彼らの悪乗りにはどこかしらに嘘っぽさがあり、純粋な享楽者にはそれを見抜かれてしまっていた。
「エクスペリエンス!」
「バングランディーーシュ!」
 しかし、やはり例外はいる。
 彼らのような生きながら"芸"をするでなく、"芸"をしながら生きている者がまさにその代表と言えるだろう。生きる全てを芸にあてる彼らの姿は、真の享楽者としてハロウィンに迎え入れられた。
 一番楽しんだ奴が勝ち。
 いつしか、命の悪あがきにはそんな合言葉も付くようになっていた。
ファンタジー
公開:21/04/30 20:46
連作 ファンタジー ハロウィン 芸人

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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